仏 式 編
【1】ご安置(ご臨終後すぐ〜数時間以内)
枕飾り・枕経
※お寺がある場合、枕経(まくらぎょう)をお願いする。
・お寺が遠方の場合は、葬儀の日にまとめて行うことも多い。
葬儀社へ連絡(24時間対応)
・まず「搬送と安置」を依頼。
・病院や施設で亡くなった場合は、葬儀社が寝台車でお迎えに来ます。
・自宅安置か、葬儀社施設安置かを選択。
ご安置の方法
・自宅安置の場合:布団を整え、枕飾りを用意(葬儀社が準備)。
・施設安置の場合:安置室でお花や線香をお供えできる環境が多い。
【2】葬儀打ち合わせ(安置当日〜翌日)
- 喪主・葬儀形態を決める
・喪主(主催者)を確定。
・葬儀形式を選択:
- 一日葬(通夜なし・告別式のみ)
- 家族葬(二日間・家族中心)
- 直葬(火葬のみ) - 日程調整
・「お寺」「火葬場」「家族」の予定を合わせて日程を決める。
・東京・埼玉では火葬場予約が混むため、早めの確定が重要。 - お見積り確認
・プラン内容・祭壇・返礼品・料理などを確認。
・この時点で総額(30万〜200万円前後)を把握しておく。
【3】納棺(お別れの準備)
家族立会い可
・家族が見守りながらお別れができる大切な時間。
納棺師・葬儀社が対応
・故人のお身体を清め、旅支度を整える。
・お気に入りの服、愛用品(写真・眼鏡・お花など)を一緒に納める。
【4】お通夜
- 通夜(夜・約1時間)
・読経・焼香・弔問を受ける。
・最近は「近親者だけの通夜」や「通夜なし一日葬」も増加。 - 通夜ぶるまい(食事)
・読経後、参列者へ軽食や折詰を用意することもある。
【5】告別式・お別れ式
- 読経・焼香・お別れの花入れ
・花をお棺に手向け、最後のお別れを行う。 - 出棺(しゅっかん)
・火葬場へ出発。
・霊柩車・マイクロバスで移動する。
【6】火葬
- 火葬許可証を提出し、火葬開始
・所要時間は約1時間〜1時間半。 - 収骨(お骨上げ)
・箸渡しでお骨を骨壺へ納める。
・地域により「喉仏」などを中心に収める習慣。 - 骨壺と火葬許可証を受け取る
・これが「埋葬許可証」に変わる。
【7】葬儀後の流れ
- 自宅または仮安置所にご遺骨を安置
- 初七日法要(同日に行うことも多い)
- 香典返し・お礼状の準備
- 四十九日・納骨の手配
神 式 編
【1】御霊移し(ご逝去)
ご逝去後、まず「御霊移しの儀」(みたまうつしのぎ)を行います。
これは故人の霊(みたま)を「霊璽(れいじ)」と呼ばれる木札に移す儀式で、神道ではとても大切な始まりの儀式です。
- 神職(神主)を呼んで行うことが多い
- 故人の御霊を霊璽に移し、以後その霊璽を通して故人をお祀りします
【2】 枕直しの儀(ご安置)
仏教の「枕飾り」にあたるのが「枕直しの儀(まくらおなしのぎ)」です。
- 故人を北枕または頭を北西にして安置します
- 枕元には白木の台を置き、
- 水、洗米、塩、榊(さかき)などを供えます
- 神棚がある場合は「神棚封じ(かみだなふうじ)」をして、災いを避けます(白紙を貼る)
【3】納棺の儀
末期の水、遺体のお清め、死化粧などは、仏式と同じです。
故人様には、神衣(かんみそ:仏式での死装束のこと)という納棺用の
衣装を着せ、白足袋を履かせます。
故人様を棺に納め、周りを花で飾ったら、柩を白い布で覆い、祭壇に
安置します。そして、手を清めて拝礼します。
【4】柩前日供の儀
柩前日供の儀 (きゅうぜんにっくのぎ)とは、柩の前に供物を供えます。
時間が間に合えば、遺影も一緒に飾ります。
納棺してから出棺(神道では「発柩:はっきゅう」と言う)まで、毎日朝と夕方に、故人が生前好んだ食べ物を案にのせて柩の前に供え、拝礼します。
※魚や肉などを供える場合は、取れたての新しいものにします。
【5】通夜祭
通夜祭は葬場祭(つやさい)の前夜に行われます。
亡くなってから葬儀を行うまでの間、故人様に生前同様の礼を尽くし、
奉仕するための儀式です。
■流れ
①斎主(神主)、喪主、遺族の順に手水の儀(ちょうずのぎ)を行って着席
します。
②斎主が一拝して、全員がこれにならって一拝したあと、斎主が祭詞を
あげます。
③楽員によって誄歌(るいか:死者の生前の功徳をほめたたえ、
その死を悼む歌)が奏楽されます。
④斎主、喪主、家族・親族が次々に玉串を捧げて拝礼して終わります。
※席次の決め方や玉串を捧げる順番などについては、仏式の場合と同じです
・手水の儀(ちょうずのぎ)
手水の儀は、祭事に入る前に手を洗って清める手法です。
手順
①桶の水を柄杓(ひしゃく)ですくって、左手を洗います。
②同じようにして右手を洗います。
③左手で水を受けて軽く口をすすぎます。もう一度左手を洗います。
柄杓に水を流して伏せて置きます。
④懐紙(かいし)で口と手を拭きます。
なお、手水奉仕を受ける場合は、以下の手順で行います。
①両手に水を受けて洗います。
②両手に水を受けて軽く口をすすぎます。
③もう一度両手に水を受けて洗います。
④懐紙(かいし)で口と手を拭きます。
※最近ではこの手水の儀は、手洗いだけに略することが多くなりました。
・遷霊祭(せんれいさい)
遷霊祭は通夜式とは別の儀式ですが、現在は通夜祭に引き続いて行うことが多くなっています。
遷霊祭は御魂(みたま)移しともいい、御魂を故人の姓名と生年月日などを書いた、霊璽(れいじ:仏教での位牌にあたる)に移す儀式です。
■流れ
①家中の明かりを消し、神官は「故人の御魂が霊璽に移るように」と、遷霊祭詞を唱えます。
②その霊璽を柩にかざして「おー」という声をかけると、故人の御魂が霊璽に入ったものとされます。
③霊璽は案に戻します。
④部屋の明かりをつけ、神官が遷霊祭詞を奏上し、神官以下一同が玉串をささげ拝礼します。
通夜祭、遷霊祭が終わると、故人を偲んで酒食のもてなしが行われます。
これは直会(なおらい)と呼ばれます。
食事は生ものでも構いません。ただし、神道では喪家で火を使って調理することを禁じているので、仕出しなどをとることが多いようです。
・玉串(たまぐし)の捧げ方
玉串を捧げることを、玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言います。
玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる紙片をつけたものです。
玉串をお盆の代わりにし、それに自分の真心をのせて捧げるという意味が
あります。仏式における焼香にあたります。
■手順
①神官に一礼して、両手で玉串を受け取ります。右手は玉串の根元を上から
包むように、左手は枝先を下から添えるようにして、胸の高さで持ちます。
②祭壇に進み、一礼します。
③右手で持っている玉串の根元を手前にして、玉串を身体に対して縦にします。
次に根元を左手に持ち替え、根元が祭壇に向くように、右回りに半回転させ
ます。根元を祭壇に向けて玉串案(玉串をのせる台)の上に置きます。
④二礼し、忍手(しのびて:音を立てない柏手)を二回打ち、最後にもう一度
一礼します。
【6】葬場祭
葬場祭(そうじょうさい)は、仏式の葬儀・告別式にあたります。
■流れ
①手水の儀
参列者一同、手水の儀をしてから着席します。
②神官入場
一同起立して神官を迎えます。
③開式の辞
司会者が開式の辞を述べます。
④修祓の儀
斎主が修祓(しゅばつ:斎場、供物、参列者を祓い清める)を行います。
一同は起立し、深く頭を下げます。
⑤献饌・献幣(けんせん・けんぺい)
奏楽のうちに、副斎主が神饌(しんせん:飲食物)と幣帛(へいはく:神饌以
外のお供え物)を供えます。
⑥祭詞奏上
斎主が祭詞を奏上、その中で、故人の略歴、業績、人柄などを述べ、故人の霊
が守護神となって、遺族を守るようにと祈ります。
⑦弔辞拝受・弔電紹介
楽員が霊を慰める誄歌(るいか)を奏する中で、弔辞・弔電の披露をします。⑧玉串奉奠(たまぐしほうてん)
斎主、喪主、以下順に玉串を捧げ、拝礼します。一般弔問者は着席順に途切れな
いように祭壇に進みます。
なお、仏式の葬儀と同様に、一般弔問者の玉串奉奠を告別式として、葬場祭
区別して行うことがあります。
⑨撤饌・撤帛(てっせん・てっぺい)
斎主が一拝して、一同これにならいます。奏楽のうちに、副斎主が神饌や幣帛を
下げます。
⑩神官退場
一同が頭を下げる中で神官は退場します。
⑪閉式の辞
司会者が葬場祭の終わりを告げます。
・式場内の配置について
葬場祭の式場では、祭壇の脇の一番高い所へ左右に楽員と神官の席が設けられます。祭壇の下には、向かって右に喪主と遺族や近親者、左に葬儀係、後ろに一般参列者が着席します。
※地域によって異なります。
柩は正面の中央に安置し、祭場の周囲に忌竹を立て、しめ縄を張り、鯨幕を張ります。
柩の後ろには故人姓名を書いた銘旗を立て、柩の前に遺影を置き、燈明、榊、供物などを飾ります。
・発柩祭(はっきゅうさい)
出棺祭ともいいます。
遺族や近親者は、故人様と最後のお別れをして、遺族が釘打ちを行い、柩を霊柩車に運びます。
ここで喪主または親族代表のお礼の挨拶があるのは仏式と同じです。
・後祓いの儀(あとばらいのぎ)
祓除の儀(ふつじょのぎ)ともいいます。
出棺の後、残った親類・世話人は、祭壇を取り外し、家の内外を掃き清めて、修祓の神官に、家の内外と関係者全員を祓い清めてもらいます。
それから仮霊舎(かりみたまや)を設け、榊と花を飾り、清めのための水や塩を用意して遺骨を迎えます。
斎場での葬儀が増えるにつれ、後祓いの儀は省略されることが多くなりました。
【7】火葬祭
火葬祭(かそうさい)とは火葬場に着いて、かまに柩を納めると、
神官が祭詞(さいし)を奏上して、玉串をささげて拝礼します。
【8】帰家祭
帰家祭(きかさいとは)仏式の遺骨迎えにあたります。
遺骨が着くと、喪主以下全員がお祓いをしてもらった後、入り口で手を洗って塩をまいて清め、帰家祭に入ります。仮霊舎には霊璽を置いて祭り、遺骨は脇に置きます。修祓、献饌、玉串奉奠などの儀式を行います。
神道の葬儀が終わると、仏式の法事・法要にあたる霊祭が行われます。
翌日祭、10日ごとに十日祭、五十日祭、百日祭、式年祭(一年、三年、五年…)が行われます。
近年は火葬場から葬儀場に戻った時に、帰家祭と併せて十日祭まで行われることが増えてきました。
その後、仏式の精進落としと同様に直会(なおらい)が行われます。
キリスト教編
【1】ご逝去・ご安置(臨終の祈り)
ご逝去直後には、家族や牧師・神父が集まり「臨終の祈り」を捧げます。
これは、神に感謝と安らぎを祈る大切な時で、遺体を清めて白い布で覆い、
安置します。
- 故人の胸元に十字架を置く
- 枕元にロウソクや花を飾る
- 聖書や祈祷書をそばに置くこともあります
【2】通夜式(カトリック)/
前夜式(プロテスタント)
葬儀前夜に行われる祈りの集いです。
神父または牧師の導きのもと、聖書朗読や賛美歌、祈りを捧げます。
- 故人を偲びながら神への感謝を表す
- ロウソクや花を囲んで祈りを捧げる
- 一般参列者は焼香の代わりに「献花」を行います
💡 豆知識:
キリスト教では「冥福を祈る」ではなく、「神の御許(みもと)での安らぎ」を願います。
「安らかに眠らせ給え(Rest in Peace)」という言葉がよく使われます。
【3】葬儀・告別式(葬儀ミサ/葬儀式)
教会または式場で行われる本儀です。
故人の魂が神のもとへ召されることを感謝し、残された人々が慰めを得る
儀式です。
〈カトリックの場合〉
- 祭壇に遺体を安置し、「葬儀ミサ」を行います
- 聖歌、聖書朗読、神父の説教、祈りが中心
- 献花のあと、神父が聖水を注ぎ祝福します
〈プロテスタントの場合〉
- 「葬儀式」として牧師が司式
- 聖書朗読・賛美歌・説教・祈り
- 参列者全員で賛美歌を歌い、故人を神に委ねます
【4】火葬・納骨
式の後、火葬場で「火葬前の祈り」が行われます。
神父・牧師の立ち会いがある場合、聖書の一節を読み、祈りを捧げます。
火葬後は、遺骨を骨壺に納め、教会墓地や納骨堂へ安置します。
納骨式(カトリックでは「埋葬式」)では、神への感謝と再会の希望を祈ります。
⑤ 帰宅・慰めの祈り
火葬後に自宅へ戻り、家族で感謝の祈りを捧げます。
仏式の「忌明け」にあたるものはなく、代わりに「追悼礼拝」や「記念ミサ」が行われます。
- 一般的には1か月後(30日目)または命日に実施
- 神の愛と希望を分かち合う時間とされます